今期から営業部の目標を「売上額」に変更した話

以前のブログでも触れていますが10月に新しい事業年度がスタートしました。このタイミングで、営業部の目標を従来の「受注額」から「売上額」に変更しました。一見何気ないことのように思えますが、そこに至るまでにはなかなか複雑なストーリーと解決すべき多くの課題がありました。

これまでの営業部目標:「受注額」

これまでは「受注額」を目標として掲げていました。その理由は以下の通りです。

  • 把握のしやすさ:受注は注文と同時に実績となるため、担当者が成果を即座に把握可能。
  • データ共有の課題:以前のシステムでは売上データの可視化が不十分だった。
  • 納期の問題:納品まで時間がかかる商品が多く、売上を目標にするとタイムラグが生じる。

こうした理由から、受注を追いかける方が現場の意識を高め、成果を見える化しやすいメリットがありました。

「受注額」の弊害

しかし、「受注額」だけを目標にすると以下のような問題が生じました。

  • 受注後の業務が疎かに:納品、売上計上、集金の知識が希薄に。
  • 価値の誤解:未来の売上と現在の売上が同等に扱われ、事業計画が不明確に。
  • 安心感による停滞:受注時点で満足してしまい、次の行動が鈍る。
  • 売上へのコミット不足:事業計画の重要指標である「売上額」を担う部署が存在しなかった。

例え話ですが、期末で「もう少し売上が必要だ」といったとき、営業部として何をすべきかが分からず取り敢えず受注を獲得しに走ってしまう状態でした。

インフラ整備による課題解決

目標変更に先立ち、インフラを整えるため以下の取り組みを進めました。

  1. 販売管理ソフトの刷新
    • ソフトを「弥生販売」に変更し、コード管理や伝票入力のルールを整備。
    • データをクラウド上で共有可能にし、必要最小限のアカウントで効率化。
    • エクスポートしたデータを社内外で見やすい形式に整備。
  2. データの可視化と自動化
    • RPAやGoogle Apps Scriptといったプログラムを活用し、販売データを毎日自動更新(RPAについては以前にもブログにしています)。

これにより、売上データをリアルタイムで共有できる環境が整いました。

営業部への新目標の導入

半年ほど前から徐々に営業部へ説明を始め、新しい期のスタートに向けて準備を進めました。現在は営業会議を月2回と従来よりも細かく開催し、進捗を確認しながら運用を調整中です。メンバーによって理解度は異なりますが、少しずつ新しい目標が根付いてきています。

ちなみに、営業部のスタッフには今までと同じように毎日受注実績をリストに打ち込んでもらうことにしています。大きな目標は売上額ですが、日々の受注の積み重ねが大事であることは間違いないからです。それに加えて、自分が受注したものを毎日しっかり記録する作業は効果があると判断し敢えて残しました。

下の写真は実際に運用している実績入力表。受注以外にも色々な実績を集めています。

課題と展望

現在、「売上額」はあくまで部全体の目標ですが、これを個人やチームごとに細分化することが課題です。ただし、指標を細かく設定しすぎると自由度が損なわれるため、各メンバーが自発的に目標を設定する仕組み化や意識付けを目指しています。

時代に合わないのかもしれませんが「来月こそは1番を目指そう」とか「この商品を◯◯台注文取ろう」みたいな感情のこもった個人目標が生まれるとどうしても私は勢いを感じます。

最後に

部署の目標設定は業界や職種、会社の方針によって異なります。しかし、なぜその目標を選んだのかを明確に説明できる組織は強いと考えます。目標を設定した背景に必ずストーリーがあるはずです。そのストーリーをいかに全体に染み渡らせるかが大事だなと思いながらブログにしてみました。

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