前回のブログでは、営業部の目標を大きく変更したエピソードを紹介しましたが、今回はその流れで設計部門の目標について振り返ってみたいと思います。
意外と営業部門は売上目標があるけれど、その他の部門は目標が曖昧なことって多いのではないでしょうか。モキ製作所も数年前までそんな感じでした。今でも模索中ではありますが定点観測のポイントが少しずつ定着しつつあります。
設計チームの背景
モキ製作所の設計チームは「製品開発部」に所属しています(MOKI製作所のリクルートページ)。
もともとCADを扱うスタッフは社内にいましたが、現在の社長が就任して以降、商品開発に注力する方針が強まり、部門が正式に発足しました。
前社長は発明家タイプのリーダーで、ひらめきを形にする天才でした。しかし、いつまでも一人の天才に頼るわけにはいきません。新商品の開発に人材リソースを割くという現社長の方針には私も賛成です。この方針転換に伴い、設計部門の発足だけでなく目標の考え方も変化しました。
間接部門の目標設定の難しさ
私自身は営業出身ということもあり、設計や管理といった間接部門の目標設定には難しさを実感しています。現場目線だと、その場の課題解決や改善にとどまりがちです。それだけでは事業計画との結びつきが弱くなる傾向があります。一方で、あまりにも壮大な目標を掲げると現実味や担当者意識がなくなってしまいます。
このような葛藤の中で、今、設計部門で定着しつつある指標が一つあります。それが「新商品の売上比率」です。
「新商品の売上比率」という指標
この指標は、全体の売上の中で新商品が占める割合を示します。当初これを部署の目標にすることは、設計スタッフさんからはあまり好評では無かったように記憶しています。「売上を作るのは営業の仕事で、私たちの指標ではない」といった感覚です。しかし、視点を変えれば「売れる商品を開発するべき」という見方もあるので採用に踏み切りました。
といった訳で、最初は不安もありながら導入した指標でしたが、実際に運用してみると良い効果が生まれました。設計部門が「売れる」ことを意識するようになり、図面や試作品を完成させるだけでは終わらない考え方が根付いてきました。無意識のうちに行動が変わっていると思います。新たなプレッシャーや業務負担も生まれたのは事実ですが、俯瞰してみると導入は正解でした。
実際の目標値の運用方法
新商品の売上比率を測定する際、1年で開発した新商品だけで成果を出すのは難しいため、過去数年分の開発成果も対象としています。商品開発には1年以上かかる案件もザラなので、長期的な視点で計画を立てることが重要です。ただし、長考が必ずしも良いとは限りません。
例えば、短期間のプロジェクトで生まれた「俺の鉄板」はわずか3ヶ月で形になった商品です。この商品は「俺のかまど」のオプションを継続的に発信するプロジェクトの中で生まれたのですが、プロジェクト自体は比較的小規模に行っています。早いスパンで売上にまで至ったこの実績は、金額は大きくなくてもとても勢いになりました(下の写真が実際の商品です)。
このように売上比率を維持するためには、大きなプロジェクトと小規模な試みのバランスをとりながら回転させることが大事だと感じています。
終わりに 他社の工夫に興味
設計や管理など間接部門の目標設定は非常に奥が深いもので、納期遵守、品質向上、工数削減、新技術の創出など、色々なテーマやアプローチからの工夫ができると思います。
工夫次第で業績や社風が変わるのはもちろんですし、スタッフに伝わるメッセージも大きく変わりますよね。
皆さんの会社やチームでは、どのような目標を掲げていますでしょうか?色々な工夫が詰まっている部分だと思います。どこかで意見交換がしてみたいなと思いました。