サウナストーブはすっかりモキ製作所の定番商品になりました。早いものでこのブログを書いている時点で第1弾を発売してから3年半ほどが経過しています。開催中のサウナイベントを機に開発の経緯を振り返ってみました。
2020年秋 ユーザーさんの声からサウナストーブが誕生
サウナストーブの開発が始まったきっかけはストーブユーザーさんからいただいた相談でした。
2019年の冬頃だったと思います。
その方はMD140型の薪ストーブ(家の暖房用のストーブ)をご自身でアレンジしてサウナ用に使われているのですが、サウナ用の薪ストーブをぜひ開発したいとの相談でした。
当時はサウナが爆発的に流行る少し前でした。最初に声をかけていただいた時は、なんとなく面白そうとは思ったものの具体的なイメージや実感は正直なところ曖昧でした。
熱意のこもった話を伺ったり、色々調べているうちにその可能性にじわじわと実感が湧いてきました。加えて、実は弊社の薪ストーブを使ってサウナを楽しんでいる方が他にも多数いらっしゃることも知り驚きました。
そして2020年秋、約1年の開発期間を経て茂暖シリーズ(第1弾)の発売しました。
今振り返ってみるとサウナについて勉強不足な部分や知識不足も多かったと思います。それでもスピード感を持った開発を優先できたことや、超高出力なサウナストーブを開発できたことは反省点を大きく上回る大きな収穫でした。
ブログを書きながら、なんでも色々考え過ぎるより思い切って川に飛び込む行動力の方が大事だなと改めて強く感じています。
また、発売した頃はサウナが爆発的に流行り始めたタイミングでした。メディアへの露出が多くて驚いたのですが、特にYouTubeの威力とスピード感が凄かったです。
2022年夏 小型版のストーブMS30発売
サウナストーブを発売して少し経つと、サウナ大好き社員Kさんからもっと小型のサウナストーブを開発したいと提案がありました。また、第1弾がきっかけとなってお客さんからも似たようなご要望をたくさんいただきました。
ブームの影響で色々なサウナ商材や施設ができて、サウナの楽しみ方は多様化している最中だったので、その中でモキ製作所の小型サウナはどんな方向性を目指すべきかはとても悩み、何度もみんなで話し合いました。
下の写真は当時の会議メモの1部です。
最終的には、既存のモキ製作所の「強み」や「らしさ」に活かすべく下記のような方向性を定めることができました。
- 携帯性も捨てがたいがしっかり感を重視
- 価格は高めになるが板厚や作りの良さ(職人感)の方が大事
- サウナ使用はダメージが大きいので交換部品はあっても良い
- 高出力がウリな従来の燃焼構造は踏襲 などなど…
商品について考えるときこのコンセプトや方向性を考える作業がとても重要だと思います。ここが曖昧になってしまうと、その後の開発過程が大混乱することも多々あります。
下の写真はコンセプトを決めた直後のラフ案です。鉄で作るイメージだったので黒く塗ってますが最終的にはステンレス製になりました。
そして2022年初夏に小型版のサウナストーブMS30が誕生、初期ロットは予約で完売の順調なスタートを切ることができました(下記の写真はその時のお知らせ モキ製作所HPより)。
その年の冬にはテレビ東京のドラマ「サ道」にもこのMS30が登場させていただきました(当時のお知らせ記事はこちら)。サウナストーブが定番になる大きな後押しになりました。
2023年秋 MS30に仕様追加 ゲージタイプを発売
MS30は手頃なサイズ感としっかり感のバランスの良さがウリの反面、MS70のような大迫力・インパクトにはちょっと欠けます。特にMS70のゲージタイプのサウナストーンがいっぱい載っているスタイルは迫力があり人気があります(下の写真)。ということで、MS30もゲージ化させることになりました。
サウナーの方々と話していると、サウナストーブの性能が重要であることはもちろんなのですが、サウナ空間のスタイルや仕様も満足度に大きく影響していることが分かります(レストランや宿泊施設と同じですね)。薪火&大容量サウナストーンのスタイルは性能だけでなく雰囲気作りにも大きく貢献できていると思います。
見た目の印象が大事なオプションなのでデザイン決めには時間を要しました。最終的には下の写真の角ばった直線的なデザインのものになったのですが、「まゆ型」の試作も捨て難かったです。
おわりに 今後の展開
薪ストーブにとってサウナはハードな環境です。高い湿度やロウリュウは本当はストーブにとっては大きなダメージですし、薪ストーブは出力が高いのに設置する空間は狭いので置き場所もとても悩みます。
ある意味、家用の薪ストーブよりも厳しい要求を満たす必要のあるサウナストーブの開発は、大変ではありますが成長のチャンスも大きいと思います。
そんな大変な部分をポジティブに捉え、これからも面白いアイデアを商品化していこうと思います。